ソウルでの怠惰な休暇 (8)

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このblogは、「ENJOY KOREA」への投稿文の再掲です。
ENJOY KOREAがリニューアル後、過去の掲示物を削除することになったため、一部に加筆・修正をして、個人blogへ残すことにしました。
なお、日付はENJOY KOREAへの投稿日に合わせてあります。また、コメントはすべて省略してあります。

【Part 8】3日目・5月1日(火曜日) -続き

江南駅から水原駅へ向かう市外バスに乗り、終点まで眠っていた。バスを降りながらヌナに連絡しようと思って電話を取り出したら、ちょうど降りた地点にヌナの車が停まっていた。小雨が降る中、さっそく車に乗り込んで出発。

俺:「ヌナ、華城に行くんだよね?」
ヌナ:「そう。華城に HOB園があるのよ。HOB、好き?」
俺:「ああ、はい。好きですよ」

俺はこの時、まだ水原華城の近くにあるHOF(ビア・レストラン)に行くのだと思っていた。ビールは大好きなので「好き?」と訊ねられれば「Yes」以外に返事はない。

ヌナが一所懸命に日本語で話そうとするが、どうも思ったとおりの言葉が出てこないらしい。俺はヌナの韓国語をうまく聞き取れなかったが、おおむね意味は分かった。
アカネや長年の友人であるケンタなどは、俺が知っている(よく用いる)韓国語の表現だけを選んで話すので、コミュニケーションは割と円滑なのだが、ヌナと会うのはこの日が3度目だったので、正直に言えば少しもどかしかった。

ヌナが最近勉強に使っている日本語のカセット・テープを取り出した。カセット・テープなんて見たのは、いったい何年ぶりだろう。それをデッキにセットすると、いくつかの日本語のセンテンスが流れてきた。
そういえば、初めてケンタと会った時に、こんなことがあった。

─── 7年ぐらい前の回想シーン ───
ケンタ:「これ、日本語のテープ。ときどき聴いて勉強しているんだ」(←たぶん、こんな言葉)
テープ:『これは、バナナですか?』(日本語)
俺:www(大爆笑)
ケ:「なんだ?この日本語は間違っているのか?」(←たぶん)
TP:『いいえ。これはバナナではありません』(日本語)
俺:www(笑いが止まらない)
ケ:「大丈夫か?本当にどうしたんだよ?」(←たぶん)
俺:「『これは、バナナですか?』……馬鹿だ!あまり笑わせる」(←単語の羅列)
ケ:「なぜ?」
俺:「見ればバナナだと分かる。なぜ質問するよ?」
(←単語の羅列)
ケ:www
TP:『もう一度。これは、バナナですか?』
TP:『いいえ。これはバナナではありません』

そんな昔話を思い出してヌナに話したら、かなりウケた様子。顔を伏せてゲラゲラ笑っている。ヌナ!運転中だよ!!(^0^;


車はだんだんと郊外の方へ向かっているようだった。華城は市街地にあるはずだが……いったい、何処へ行くんだろう?
やがて車は KTXの高架をくぐって、ビニールハウスみたいな場所の前で停まった。看板を見てみると……


『ウォンピョン ハーブ農園』
ハーブ農園……なぜハーブ園に来たんだ?……(0.8秒)……ハーブ園?……(0.5秒)……HEO-BEU-WON……(1.2秒)……HOB園?あっ!!!
ようやく気付いた。俺がヌナの韓国語を聞き取れず、HEO-BEUをHOB →HOFだと思っていたのだ。水原華城じゃなくて京畿道華城市!どうりで、朝からビールを飲みに誘うなんて、変だと思っていたんだよwww
中に入ると、ハーブの香りが……別におじさんに「癒し系」の趣味はないけれど、たまにはいいもんだよね。


これたぶん知ってる!金蓮花だよね?違う?


これは時計草。韓国語でも同じ名前なのかな?


ラベンダーに囲まれながら、ハーブ茶をいただく。
少し肌寒い天候だったので、すごく身体が温まったように感じた。

途中、ジュンから電話が来た。家の引っ越しで忙しいので、なかなか時間が取れないと言う。俺としては、俺がソウルに来たなら会わなければならない or 連絡しなければならない、と思ってくれるだけで十分に嬉しいので「時間があったら電話してくれ」とだけ返事した。
 

ヌナが石鹸を作ろうと言うので、一緒に作ることにした。ハーブ石鹸だ。


力仕事なら任せろ!と、宇宙攻撃軍・中将、石鹸をこねる。


同じぐらいの大きさに分けて、こんな形に作ってみた。花の形にしようと思ったら、星になってしまったけどwww


こっちはヌナが作った石鹸。でも、なぜそんな形なんだ?w

石鹸を作り終えて、ハーブ園を後にした。

ヌナ:「楽しかった?」
俺:「うん。気分転換になったよ。だけど……」
ヌナ:「だけど?」
俺:「カレーに入れるコリアンダーの種がなかったよ」
ヌナ:「カレー、よほど好きなのね」
俺:「カレーは男の浪漫だよ!」

ヌナはこの後 14時から日本語教室に行くらしいので、その前に昼食を食べて解散することにした。
何が食べたいか問われたので「魚料理」と答えた。ヌナが美味しいお店を知っていると言うので、期待して行ったお店の中は……なんだか鼻を突くような匂いが漂っている。クサヤみたいな魚のお店なのかな?

ヌナ:「ここは魚料理も美味しいけど、チョングジャンが有名なのよ」

チョングジャン……(5.2秒)……あっ、もしかして、清麹醤!?

俺:「ヌナ、だめ!俺、清麹醤と納豆は苦手なんだ!お願い!やめて!」

必死でお願いして、結局 サバとイシモチを注文した。
ヌナには申し訳なかったが、好きでもないのに「美味しいです」とお世辞を言うよりは、正直に自分の嗜好を申告した方がいい。ヌナに隠し事は無用だ。


焼き魚だ!ちょうど食べたくなる頃だったんだよ!\(^Q^)/

食事をしながら、ヌナが言った。

「初めて娘(アカネ)があなた(=俺)に会いに行くと言ったとき、反対していたのよ」

娘を持つ親としては当然だが、今ごろ言われるとは思わなかったw

初めてアカネに会ったのは、"THE CHICKEN STEW"の面子と鍾路でOFFをやろうという話をしていた時に、偶然チャット・ルームに来たアカネが「私も行く!」と言い出したことがきっかけだった。
"THE CHICKEN STEW"の全員がアカネのことを知らなかったし、未成年だということも分かっていたので、俺もケンタも心配してOFFを日曜日の昼間にしよう等と相談していたのだが、結局アカネが押し切る形で参加した。
その数日後の日曜日に両水里へドライブに行った時にも、アカネはヌナが作ってくれたお弁当(大量ののり巻き)を持参して参加したので、まさかヌナが反対し ていたとは、全く知らなかったのだ。あの時、よほど最初のOFFで楽しい思いをしたのだろう。そうでなければお弁当まで持たせてくれるはずがないもんね。

「今はあなたを信頼しているから、これからもよろしくね」

もちろんであります、姉さん!いや、キシリア閣下!w
自分は生涯「日本パパ」であります!

食事の後、バス停まで車で見送ってもらって、ヌナと別れた。


ヌナからもらった手提げ袋の中には、自家製のキムチとアミ蝦と唐辛子粉が入っていた。帰国したら、しばらくキムチには困らないぞw

足取りも軽くバスに乗り込み、再び江南駅へと向かった。

《つづく》

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このブログ記事について

このページは、Elwood Bradhamが2007年5月14日 05:15に書いたブログ記事です。

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